Prionics AG 社 PrioCHECK™ Toxoplasma Ab ブタELISA キットを⽤いた試験の反復性と再現性
はじめに
ELISA プロトコールは、異なる試薬の添加、インキュベーション、マイクロプレート洗浄ステップおよびOD 測定などのルーチンステップを含みます。多くの場合実験台には、アッセイ手順に必要な⼤きな器具あるいは複数の機器が混在しています。スペース不⾜は⽣産性に悪影響を及ぼします。全自動ELISAシステムCrocodile LB925は、標準のスタンドアロンELISAリーダーのサイズで、5 つの個々の機器の機能性を持ち合わせています。このアプリケーションノートでは、ELISA 検査キットPrioCHECK™Toxoplasma Ab ブタ(Prionics AG 社製)を使⽤し、⼿動分析との⽐較を⾏います。
トキソプラズマ症は、サルコシスティダエ科(Sarcocystidae)に属する原⽣動物寄⽣⾍トキソプラズマ・ゴンディイ(Toxoplasma gondii)によって発症します。トキソプラズマ感染は、ヒトおよびその他多くの温⾎動物種に広範に存在します。出現は世界規模でありますが、ヒトおよび動物集団での罹患率は国によって⼤きく異なります。
使用機材
測定システム:全自動ELISAシステム Crocodile LB925
シングルチャンネルピペット (20-200µl)
試薬: PrioCHECK™ Toxoplasma Ab porcine (Prionics AG社)
品番:7610230
ロット番号:TX100401M
使用期限:2011/04/30
消耗品: 脱イオン水、溶液ボトル、ピペット用チップ
方法
テスト手順
反復性は、同じ条件下で⾏われた測定値の変化として定義されます。この⽬的のために、1 つのサンプルをアッセイの直線範囲で96 回の測定で試験しました。反復性は、プレート上の変動係数(CV)として表されます。再現性は、試験結果を独⽴して再現する能⼒として定義されます。例えば、異なる⽇に異なるプレートで試験します。この⽬的のために、陽性サンプル20個および陰性サンプル70 個を2 回の独⽴した試験で試験しました。
定量原理
図1: ELISA反応の⼿順ステップの概略図。PrionicsからのELISAキットを、キットの説明書に記載されているように実施しました。各ウェルの吸光度を、450nmで測定しました。(620nmでリファレンス測定)
PrioCHECK™ Toxoplasma Ab ブタは、Toxoplasma gondii に対する抗体の検出の間接的ELISA です。この試験は、短い4 ステップELISA プロトコルがあります。試験サンプルをトキソプラズマ抗原で被覆したプレート中で室温でインキュベートします。次いで、プレートを洗浄し、酵素標識抗ブタ抗体を添加します。シグナルが測定され、⾊が発⾊する場合、サンプルは抗トキソプラズマ抗体について陽性です。試薬および試料の希釈は、試験⼿順書に記載されているように⾏いました。最後のページにはCrocodile のアッセイプログラムが掲載されています。
測定結果
反復性の検証基準
標準偏差(SD)は、平均値からどのように値が分散しているかを記述する⽅法です。変動係数(CV)は、平均に対する標準偏差の⽐として定義されます。CV はアッセイの可変性の⽐較を可能にするSD の標準化です。PrioCHECK™ Toxoplasma Ab ブタELISA の場合、1 つのプレートにおけるOD450-620 値のCV%は<8%でなければなりません。
図2:第1 の表は、96 サンプルのOD450-620 値を⽰します。第2 の表には、対応する平均OD450-620 値、標準偏差およびCV%を⽰します。
再現性の検証基準
線形相関係数 r は、2つの測定値間の線形関係の強度および⽅向を測定します。絶対値が0.8より⼤きい2つの独⽴したテスト間の相関は⼀般的に強いとされ、⼀⽅、0.5未満の相関は⼀般的に弱いとされます。
判定係数「r2」は、2つの試験間の線形関連の強度を⽰します。この係数は、回帰直線がベストフィットの線に最も近いデータのパーセンテージをどのくらいよく表しているかの尺度になります。
2つの測定間の完全な相関は、r = 1およびr2 = 1で⽰されます。PrioCHECK™ Toxoplasma Abブタの場合、2つの独⽴した測定間の相関係数は r>0.8、測定係数 r2>0.98でなければなりません。
図3:グラフは、2 つの独⽴した試験のOD450-620 値の間の関係を、20 の確認された陽性サンプルおよび70 の確認された陰性サンプルについて⽰します。得られた線形回帰式はy = 1.053x +0.013, r = 0.997, r2 = 0.994 となり、勾配がほぼ1、切⽚がほぼ0 となることから両試験の結果がほぼ1:1 の結果を出していることを⽰しています。判定係数「r2」(r2 = 0,994)は、両試験間の線形結合の強度を⽰します。
まとめ
全自動ELISAシステム Crocodile LB925によって処理されたアッセイの反復性を試験するために、1つの陽性サンプルを、Prionics社のPrioCHECK™Toxoplasma Ab ブタでのアッセイの直線範囲において1つのプレートにおいて96回試験しました。得られた平均OD450-620値は0.91、標準偏差がSD0.06であり、CVが6.6%でした。
全自動ELISAシステム Crocodile LB925によって処理されたアッセイの再現性を試験するために、20の確認された陽性サンプルおよび70の確認された陰性サンプルをPrionics社のPrioCHECK™Toxoplasma Ab ブタで陽性、弱陽性および陰性対照の試料に対して2つの独立した試験を行い、再現性をチェックしました。
得られた回帰式は y = 1.053x + 0.0013、相関係数 r = 0.997, r2 = 0.994となり、独立した2試験がほぼ同様な結果を出すことが確認されました。
結論
このアプリケーションノートではELISAテストキットPrioCHECK™Toxoplasma Abブタを用いたテストで、全自動ELISAシステム Crocodile LB925の高い反復性と再現性を実証しています。1つのプレートで96回測定で測定した反復性は、非常に良好なCV(6.6%)を示しました。
全自動ELISAシステム Crocodile LB925は、DO450-620による測定で非常に良い再現性を示しました。これは2回の独立した測定で回帰直線 y = 1.053x + 0.013、相関係数 r = 0.997、判定係数 r2 = 0.994となることで実証されます。r が0.8以上であれば、一般的に2つのテストの間の相関は強いとされています。
謝辞
本試験に於きまして、試薬供給およびテクニカルサポートを頂きました、Prionics AG 社およびPascal Schacher ⽒、Mario Pürro ⽒、Daniel Zwald ⽒のご協⼒に深く感謝申し上げます。
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※本ページの内容は2011年3月にTitertek Berthold社がリリースしたアプリケーションノートのアーカイブです