Knowledge Base #07
PMTについて
PMT (Photomultiplier Tube・光電子増倍管) はマイクロプレートリーダーやチューブルミノメーターの最も重要な部品です。装置の心臓部と言われています。
PMT とは?
PMT は真空管の部類に属し、より特異的な真空光電子管です。
PMT は紫外域、可視域、近赤外域の光を最高感度でとらえる光検出器です。
光電子増倍管 (Photomultiplier Tube; PMT) は、光電効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電管を基本に、電流増幅 (= 電子増倍) 機能を付加した高感度光検出器で、「フォトマル」または「PMT」と略称されることもあります。真空紫外域から 1700 nm の赤外域に至る広い範囲で、波長選択的に光検出が可能なことも特長で、これらの検出器は光電子を倍増します。
入射する光が非常に弱いときに検出すべき個々の光子は多重のダイノードに衝突し、入射光の 100 万倍以上の信号電流として外部に取り出されます。
入射窓から入射した光子のエネルギー (hν) は光電陰極から光電子をたたき出し、その光電子は集束電極 (Focusing electrode) により効率よく導かれるとともに、加速電圧によりエネルギーを与えられて電子増倍部の第一ダイノードに衝突します。その結果、1 個の光電子は数個の二次電子をたたき出し、それらは第二ダイノードに入ってさらに増倍されます。このように、二次電子は隣り合うダイノード間の電位差により加速されながら電子増倍部を通過する間に次々と倍増され、最終的には数十万倍から一千万倍以上になって陽極に到達し、信号電流として外部に取り出されます。
PMT を使った検出器には 2 つのタイプがあります。ひとつはフォトンカウントモード、もうひとつはアナログモードです。ベルトールド社製品の多くに採用されているのはフォトンカウントモードです。
フォトンカウンティング法の優位点
フォトンカウンティング法 (光子計数法) は、単一光子レベルまで検出可能な超高感度、高速動作、低ノイズ、広い受光面積などを特徴とし、分光分析、天文学、理学、バイオテクノロジー等の用途に広く使用されています。
フォトンカウンティング法は高感度で、その他の長所は下記のとおりです。
- フォトンカウントモードではデータのノイズパルスがディスクリミネータで取り除かれるので、シグナル / ノイズ比 (S/N比) が良い。それに対してアナログモードはノイズが直接シグナルに加わり、ノイズが高く、それを取り除くことができない。
- すべての PMT は高電圧が必要だが、フォトンカウント PMT を使うと小さな電圧変動が生じてもデータに影響を与えず、安定は抜群である。それに対しアナログモードでは PMT の高電流を変えるためにゲイン調整が必要になり、実際のデータに影響が生じる。
また、このゲイン調整はそれぞれのシグナルレベルで行われるので、各ゲインでのアナログカウントシステムのダイナミックレンジはせいぜい 3 – 4 桁である。それに対し、フォトンカウントシステムのダイナミックレンジは 6 – 7 と広い。 - フォトンカウントシステムの精度は間違いなく1 番と言っても過言ではない。アナログカウントシステムでは電気回路の放出と検出において集められた電子の約 20 % 程度をロスしている。これは大きな不正確さを導き出すものである。
- フォトンカウントを使えばシグナルの小さな変化が非常にはっきりと解る。そして大きな信号を受けたときにもそれを失うことはない。
ベルトールドの品質保証
ベルトールド社製品のすべてのプレートリーダー、チューブルミノメーターはその検出器にフォトンカウントモードを使用しています。PMT のひとつひとつは人間の手と目で選定されます。その後、細密な厳しい選定行程に送られ、バックグラウンド、効率、そして長期安定性を入念にチェックするために 1 週間以上を費やします。
すべてのテストは最上級の PMT がベルトールド社のマイクロプレートリーダー、チューブルミノメーターに装備できることを確認するため、さまざまな温度範囲の下で行われます。ベルトールド社では PMT を 100 個注文し、テスト後にはマイクロプレートリーダーやルミノメーター用として使用できるレベルのものがわずか 10 – 12 % になってしまうことは珍しい事ではありません。(100 個中、上質な 10 -12 個だけを使用ています)
厳しいテストに不合格だった PMT はそれを使用できる他の製造部署に運ばれます。プレートリーダーを製造している競合他社ではこのような贅沢なことはしていないでしょう。他社では PMT 製造会社から PMT を受け取ってそのまま使用しているに違いありません。
ベルトールド社は 35 年以上にわたり、フォトンカウントモードの PMT を用いた 20 種類以上の最高感度のルミノメーターを制作してきました。最初に市場に出した機種は 1979年 (今から約 43 年前) のBioLumat LB9500 でした。
私たちは 1979 年以来、長い道のりを経てさまざまな製品群、素晴らしく高感度で長寿命なマルチラベルプレートリーダー、マイクロプレートルミノメーターとチューブルミノメーターを販売しています。
ベルトールドテクノロジー社の製品群は「超一流中の一流」が誇りです。