IDEXX 社 ミルク妊娠テストキットを⽤いた⾃動測定性能
はじめに
乳⽜の妊娠を正確に、タイムリーに知ることは繁殖を管理する上できわめて重要です。⾼い繁殖効率は乳⽜の⾼い⽣涯⽣産率の前提となります。ミルクを使った検査室での妊娠検査法は従来の⽅法直腸検査、経直腸超⾳波検査などに⽐べ、多くの利点があります。すなわちより安全であり、経費も安く、現場での専⾨の技術者、特別な器具などが必要ありません。妊娠に関連するグリコ蛋⽩(PAGs pregnancy-associated glycoproteins)は多くの種類があるグリコ蛋⽩の1種で、胎盤の上⽪細胞において発現されます。PAG は妊娠した⽜のミルクに検出され、妊娠の検診には便利で、特異的、しかも感度がよい⽅法となります。
IDEXX 社のミルク妊娠テストは妊娠35⽇以上の乳⽜のミルク中妊娠マーカーであるPAG 検出ELISA キットです。このテストは分娩後、60⽇以上であれば使⽤できます。
使用機材
測定システム:全自動ELISAシステム Crocodile LB925
シングルチャンネルピペット(20-200 μl)
試薬: Milk Pregnancy Test(IDEXX 社)
(品番:99-41209)
消耗品: 脱イオン水、溶液ボトル、ピペット用チップ
方法
試薬は使⽤30分前に室温まで上げておきます。洗浄液はメーカーの指⽰通りに⽤意します。コントロールとサンプルはメーカーの指⽰通りにピペットでプレートに注ぎます。ポジティブコントロール、ネガティブコントロール3種ずつ使⽤しました。全てのコントロール、サンプルは3回ずつ測定しました。
プレートはインキュベーションの間、粘着性カバーでしっかりシールし、蒸発を防ぎました。装置のプログラムにはシールの着脱に伴う⼿動のステップが含まれます。⼿動の部分を少なくするため、最初の恒温時(37°C で2 時間)のみカバーをかけ、その他の恒温時(室温20-30 分)はカバーを外してテストしました。蒸発は特には問題となりませんでした。プログラムステップを最終ページに⽰します。
測定結果
アッセイが意味あるものとしての基準はポジティブコントロールの平均とネガティブコントロールの平均との差が0.5 以上、ネガティブコントロールの平均が0.2 以下となっています。全自動ELISAシステム Crocodile LB925の測定ではどちらの基準も満たしていました。
妊娠しているか否かの判断は、補正したOD 値(S-N: サンプルのOD:S とネガティブコントロールのOD:N との差)が0.1 未満であれば妊娠していない、0.25 以上であれば妊娠している、0.25 未満0.1以上であれば再検査ということになります。ネガティブサンプルはすべてネガティブ、ポジティブサンプルはすべてポジティブと判定され、擬陽性、疑陰性と判断されたものはありませんでした。
結果を図1に⽰します。
図1:左:コントロールとサンプルの結果。OD 値はOD450-620 を⽰します。3回測定の平均値です。
右:データ解析ソフトのスクリーンショット(MikroWin ソフトウェア)
まとめ
アッセイは2つの判断基準を満たし、すべてのポジティブ、ネガティブサンプルを正しく判断できました。アッセイのやり⽅は簡単で、コントロールとサンプルをプレートに注ぐだけで、その他は装置が薬品添加、洗浄、インキュベーション、吸光測定を⾃動で⾏います。さらにカバーの着脱など⼿動のステップを組み込むことも可能で、⾃動、⼿動を混合した柔軟な対応ができます。
全自動ELISAシステム Crocodile LB925と解析ソフトMikroWin との組み合わせで、IDEXX ミルク妊娠テストキットを⽤いて便利に、しかも容易に⾃動分析が可能となります。
謝辞
本試験に於きまして、試薬供給およびテクニカルサポートを頂きました、IDEXX Laboratories社およびFranziska Breitenwieser (Milchprüfring Baden-Württemberg)のご協⼒に深く感謝申し上げます。
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※本ページの内容は2016年1月にTitertek Berthold社がリリースしたアプリケーションノートのアーカイブです