Sedium R&D 社ウシ⾎清アルブミンELISA キットを⽤いたサンプルの診断感度と特異性

はじめに

ELISA プロトコールは、異なる試薬の添加、インキュベーション、マイクロプレート洗浄ステップおよびOD 測定などのルーチンステップを含みます。多くの場合実験台には、アッセイ手順に必要な⼤きな器具あるいは複数の機器が混在しています。スペース不⾜は⽣産性に悪影響を及ぼします。全自動ELISAシステムCrocodile LB925は、標準のスタンドアロンELISAリーダーのサイズで、5 つの個々の機器の機能性を持ち合わせています。このアプリケーションノートでは、ウシ⾎清アルブミンELISA キット(Sedium R&D 社)を使いて試験し、本システムの特異性と診断感度を示します。

⽜⾁は世界の⼈⼝の⼤部分にとって重要な⾷べ物です。BSA に対するアレルギーの罹患率はその他の⾷物アレルゲンより明らかに少ないです。しかしながらアレルギー学者はBSA を⾷物アレルゲンとすることを推奨しています。⾷品中のBSA の有無が特定原材料のアセスメント/エバリュエーションや⾷料⽣産のため規定の製品を遵守するのに利⽤できるパラメーターであるという事実も無視することはできません。
ウシ⾎清アルブミンELISA キットは⾷品サンプル中のウシ⾎清アルブミン(BSA)を測定するための競合イムノアッセイです。BSA が含まれていない⾷品マトリックスはキットの結果は常に陰性になります。

使用機材

測定システム:全自動ELISAシステム Crocodile LB925
       シングルチャンネルピペット (20-200µl)

試薬:    ウシ⾎清アルブミンELISA キット(Sedium R&D 社)
        品番:FA 00308/48
        ロット番号:004
        使用期限:2011/08/31

消耗品:   脱イオン水、溶液ボトル、ピペット用チップ

方法

定義および試験手順

  • 反復性(試験-再試験反復性)は同⼀条件下で同じアイテム、同じ装置で測定した場合または⼀⼈の⼈が測定した場合の測定値のばらつきです。相対標準偏差(CV%)を決定するために4 つのスタンダードと2 つのコントロールサンプルについて3回の独⽴した反復試験を⾏いました。
  • 再現性は異なる⽇に異なるプレートを⽤いて試験することにより、結果が独⽴して再現したと定義されます。相関係数 r および決定係数 r2 を決定するために21 サンプルについて2回の独⽴した試験を⾏いました。
  • 診断感度はBSA に汚染されたサンプルを正しく同定する能⼒として定義され、診断特異性は汚染されていないサンプルを正しく同定する能⼒として定義されます。診断感度および特異性を決定するために21 サンプルをCrocodile を⽤いて分析しました。使⽤されたサンプルのうち9 サンプルはBSA でスパイクし、12 サンプルを陰性として確認しました。このテストキットの検出限界は3.76 ppm と記載されています。
  • 試薬およびサンプル溶液は試験⼿順書に記載された通りに⾏いました。コントロールおよびサンプルはデュプリケートで測定しました。

定量原理

ウェルの壁にヒツジ抗BSA 抗体がコーティングされたマイクロプレートを⽤います。サンプルおよびホースラディッシュペルオキシダーゼと結合したBSA コンジュゲートをホモジナイズします。インキュベーションの間、BSA はウェルの壁の抗体に結合します。サンプル内に存在するBSA とコンジュゲートに結合するBSA はこの限られた数の抗体結合部分に対して互いに競合します。インキュベーションの後ウェルを洗浄し、ウェルの壁に結合したペルオキシダーゼを発⾊基質(TMB)によって検出します。このような発⾊の強さはキャリブレーターおよび分析サンプル中のBSA 濃度に反⽐例します。
試薬およびサンプルの希釈は試験⼿順書に記載された通りに⾏いました。

測定結果

反復性

標準偏差(SD)は値のセットが平均からどれだけ分散しているかを⽰す⽅法です。変動係数(CV)は平均に対する標準偏差の⽐であると定義され、SD を標準化することでアッセイを相対的に⽐較することができます。キットのアッセイ間変動は13.6% CV と記載されています。

図1:スタンダードはOD450 にてデュプリケートで測定した。表は各サンプル1 回の測定結果およびCV%を⽰します。図はMikroWin2010 の4 パラメーターカーブフィットアルゴリズムを⽤いた回帰曲線を⽰します。

図2:スタンダードおよびコントロールサンプルについて3 回実施した独⽴した測定の表および計算された濃度の平均値のグラフ

再現性の検証基準

線形相関係数 r は2 つの測定値間の直線関係の強度および⽅向の指標です。絶対値が0.8 より⼤きい2つの独⽴したテスト間の相関は⼀般的に強く、0.5 より⼩さな相関は⼀般的に弱いとされます。
決定係数 r2 は2 つのテスト間の直線関係の強度を意味します。この係数は回帰直線がベストフィットラインに最も近いデータのパーセンテージをどのくらいよく⽰しているかの⽬安です。

診断感度および特異性の検証基準

診断感度は汚染されたサンプルを正しく同定する能⼒として定義され、診断特異性は汚染されていないサンプルを正しく同定する能⼒として定義されます。

図3:グラフは陽性の9 サンプルおよび陰性(BSA 濃度が3.76ppm 未満)の12 サンプルの結果を含む2 つの独⽴した試験のOD450 値間の関係を⽰しています。回帰式はy=1.103x +0.007, 相関係数r=0.94, r2=0.888 となりました。

まとめ

全自動ELISAシステム Crocodile LB925によって処理されたアッセイの信頼性を試験するために4つのスタンダードおよび2つのコントロールについてデュプリケートで独⽴した試験を3 回実施しました。濃度は各サ
ンプル2回のデータの平均値で決定しました。3回の試験で得られた各サンプルについての濃度CV%を計算し、表⽰された濃度と⽐較しました。キットのアッセイ間変動は13.6% CV と記載されています。
アッセイの再現性を試験するためにSedium R&D 社のBSA ELISA キットを⽤いて21 サンプルについて独⽴した試験を2 回実施し、その相関を取ったところ、回帰式はy=1.103x+0.007, 相関係数r=0.94, r2=0.888 となりました。
診断感度と全自動ELISAシステム Crocodile LB925で処理したアッセイの特異性を試験するために9個の陽性サンプル(BSA 3.76ppm 以上)および12 コの陰性サンプルについてSedium R&D 社のBSA ELISAキットを⽤いて独⽴した試験を2 回実施しました。

結論

アッセイにおいて全自動ELISAシステム Crocodile LB925を使⽤することにより使⽤者が⾏うのはサンプルの添加のみになります。
全自動ELISAシステム Crocodile LB925はBSA ELISA 試験を実⾏するのに適しています。このアプリケーションノートでは全自動ELISAシステム Crocodile LB925を使⽤し、その反復性、再現性および診断感度とキットの特異性が完全に達成されることを⽰しています。
3 回の独⽴した反復性テストでは5.5〜9.4 の範囲内の良好なCV%を⽰し、測定された濃度は推定値に⾮常に近い値でした。
また、OD450 の測定で良好な再現性を達成しました。独⽴した試験を2 回実施し、その相関を取ったところ、回帰式はy=1.103x +0.007, 相関係数r=0.94, r2=0.888 となりました。
全自動ELISAシステム Crocodile LB925とBSA ELISA キットの組み合わせを⽤いて3.76ppm 以上のBSA を含む全てのサンプルが陽性として正しく同定され、また3.76ppm 未満のサンプルがすべて陰性と同定されました。これによりこのキットと全自動ELISAシステム Crocodile LB925の組み合わせにより、所期の⽬的の感度と特異性を持つことが⽰されました。

謝辞

本試験に於きまして、試薬供給およびテクニカルサポートを頂きました、SEDIUM R&D 社およびKvěta Koryčanová ⽒のご協⼒に深く感謝申し上げます。

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※本ページの内容は2011年7月にTitertek Berthold社がリリースしたアプリケーションノートのアーカイブです